2026
陳潔瑤(Laha Mebow)
九月、霧に包まれた山間の部落。
季節は静かに、秋から冬へと沈み込んでいく。
そこにあるのは、まるで海雍(ハイヨン)一家のように、
神秘と余韻に満ちた世界。
生涯をGAGAの信仰と祭祀に捧げた海雍。
しかしその死とともに、受け継がれるはずだった伝統は、
次第に静かに、そして確実に失われていく。
海雍一家は、台湾先住民族の縮図。
それぞれの部落もまた、ひとつの“家族”として、
ゆるやかに崩れ始めている。
長男・巴桑(パサン)は、家族の反対を振り切り、選挙の世界へ。
その波は、静かに次男の人生をも飲み込んでいく。
やがて選挙が終わる頃、
家族は崩壊寸前に追い込まれ、
村には、記憶の奥に眠っていた雪が降り積もる。
すべてが凍りついた、その先で。
雪が解けるとき、
新たな命が息を吹き返す。
壊れかけた家族もまた、
静かに、しかし確かに再生へと歩み出す。