沖縄の春をエンターテインメントで彩る新たな風物詩『島ぜんぶでお~きな祭 沖縄国際文化祭』が4月5日に開幕し、那覇市文化芸術劇場なはーと、豊崎海浜公園 美らSUNビーチなど各会場のイベントに観客がつめかけました。
オープニングセレモニーには、沖縄国際文化祭実行委員会・会長の下地芳郎氏、実行委員長の大﨑洋氏、副実行委員長の安里繁信氏のほか、「World Short Drama Awards 2025」審査員を務め、映画「BLUE FIGHT」のトークショーにも出演するアーティストのGACKTさんが登壇。そして、GACKTさんの開会宣言により、2日間の祭典が幕を開けました。
下地氏は「ようやくこの日が来ました。16年続いた『沖縄国際映画祭』が昨年終わり、何としても継続したいと動いてきたなか、多くの企業にご協賛いただきました。気持ちも新たにスタートします」。本文化祭の開催に向けて尽力してきた大﨑氏は「沖縄のみなさまに感謝申し上げます。多くの方に助けられて実現できたことを噛み締めています」と挨拶しました。
地元の熱い期待を背負う本文化祭について、下地氏が「何回まで続けることができますか?」と大﨑氏に問いかけると、大﨑氏は「100回!」と高らかに宣言。16回で幕を閉じた前身の『沖縄国際映画祭』にも触れながら、新たな決意を語りました。
その後、なはーとでは俳優や監督が登壇した映画上映&トークイベントが続々と開催されました。
開場前から50名ほどが行列を作ったのは、GACKTさん、吉澤要人さん、溝口勇児エグゼクティブプロデューサーが登壇した映画「BLUE FIGHT」の舞台挨拶。格闘技イベント・ブレイキングダウンを舞台にした不良バトルとなる本作について、GACKTさんは「殴られるシーンで、実際に拳が顔に当たり、ふつうに痛かった(笑)」と舞台裏を話し、会場を盛り上げます。筋肉をつけるために退場を7キロ以上増やしてから体を絞った役作りも明かし、「この映画を通じて、前に進むことの大切さを感じてもらえたらうれしいです」と話しました。
映画「ら・かんぱねら」の舞台挨拶には、伊原剛志さんが登壇。フランツ・リストの名曲「ラ・カンパネラ」を弾くことに挑戦する佐賀・有明海の海苔漁師の主人公を演じた伊原さんは「一切ピアノに触れていなかった段階から、撮影までの半年間、1日6時間の猛練習を毎日重ね、本番は譜面を読まずに暗記で最後まで演奏しました」と話します。船舶免許を持つ伊原さんは自ら漁船を操船し、劇中のピアノ演奏シーンはすべて自身で演奏したことを明かすと、観客席から大きな拍手を受けました。
会場がほぼ女性に埋め尽くされた映画「熊本の彼氏」の舞台挨拶には、TikTok人気アカウント「熊本の彼氏」こと杉本琢弥さん、熊谷祐紀さん、諸星翔希さん、小山銀次郎さんが登壇。熊本地震からの復興に力を注ぐ熊本を舞台にする、杉本さんの楽曲をモチーフとしたオリジナルストーリーとなる本作について、撮影の様子から、音楽やダンス、役作りまで幅広いトークで観客の興味を惹きつけつつ、「映画にすることで、熊本の復興を風化させないためのひとつの力になると思います」(杉本さん)とメッセージを送りました。
プレトーク付きで特別上映された「SHOGUN 将軍」(第1話と第2話上映)は、会場前に入場待ちの行列ができる人気ぶり。米ゴールデングローブ賞最多4部門受賞をはじめ、世界中のアワードを席巻した話題作への期待の高さをうかがわせました。また、沖縄国際文化祭のための特別編がプレトーク付き上映された映画「オーイ!とんぼ」には若い世代の観客がつめかけ、それぞれの会場で笑いを交えた映画解説を熱心に聞き入る観客の姿が目立ちました。
そして、夕方からは、本文化祭の象徴となる縦型ショートドラマアワード「World Short Drama Awards 2025」が大劇場で開催されました。
招待作品からは「ラストオーダーは復讐で〜ヒモがホストになっちゃった〜」が上映され、篠崎彩奈さん、山本裕典さん、髙橋栄一監督がステージに立ち、撮影の舞台裏や作品の見どころを語り、観客の歓声を浴びました。
続いて表彰式。審査員を務めた、アーティストであり俳優のGACKTさん、本文化祭実行委員会・委員長の大﨑洋氏、副実行委員長の安里繁信氏のほか、Z世代に大きな影響力をもつインフルエンサーの折田涼夏さん、まいきちさん、沖縄出身の平一紘監督、シーサー職人の新垣信人さん、三線アーティストの前田秀幸さんが登壇。
世界5ヵ国から714本の応募作品が集まったなかから、7つの部門の受賞作品が上映され、審査員が各部門の審査結果を発表しました。
第1回となった「World Short Drama Awards 2025」7部門の受賞作品は以下の通りです。
・グランプリ:走馬灯
・準グランプリ:ゴシップ!
・審査員特別賞:社長の名は
・最優秀監督賞:ガラケーハーモニー
・最優秀シナリオ賞:おじいちゃんコード
・最優秀女優賞:駒井蓮(作品:走馬灯)
・最優秀男優賞:別紙慶一(作品:闇バイト)
表彰式の最後に、GACKTさんは「ここから10年で縦型ショートドラマはたくさん出てくると思う。それがメディアとして成り立つことで、次世代の新しい監督、役者が世に出てくるきっかけになり、新人発掘にもつながります。発展性の高いメディアであり、これからを楽しみにしています」と縦型ショートドラマの未来に言及しました。
大﨑氏は第1回となった本アワードについて「応募作品には、若い世代の人たちの発想、言葉遣い、表現したいことなど、ふだんから馴染みのある縦型ショート動画を通してこそ伝わってくるものがありました。それを感じることができて興味深かった」を総評。これからに向けては「アジアに近い沖縄から、広くアジア全体に向けて日本の縦型ショートドラマというカルチャーを伝えていきたい」と意気込みました。
そして、沖縄で本アワードを開催することの意義をGACKTさんは「過去には沖縄がアジア貿易の中心になっていた時代もありました。文化でも沖縄発でアジアへの広がりがあってもいいと思います。アジアからの影響を受けている地であることも含めて、沖縄には柔軟な姿勢があります。日本の新しい文化をアジアに広げていく窓口になり得ると信じています。このアワードがもっと発展していくことを期待していますし、そのときは力になれることをやっていきたいです」とエールを送りました。
初日の各イベントを大盛況に終えた『沖縄国際文化祭』。2日目の最終日(4月6日)には、いよいよメインイベントとなる那覇・国際通りのレッドカーペットが開催されます。
そのほか、沖縄県41市町村の魅力を動画を通じて国内外へ発信する「沖縄41市町村 PRショート動画コンテスト」、地域ビジネスで社会課題の解決を掲げるソーシャルビジネスフォーラムやオークショニアスクール、ガレッジセール・ゴリと実行委員長の大﨑洋氏が沖縄のエンターテインメントを語り合うトークショー、映画「レディ・ノワール」の上映トークイベントなど盛りだくさん。
そして、『沖縄国際文化祭』のラストは、豊崎海浜公園 美らSUNビーチで2日間開催される音楽フェス「GIRLS GROOVE INNOVATION」でのオールエンディング。DA PUMP、かりゆし58のほか、フェスすべての出演者がステージに集結し、ドローンショーと花火が夜空を彩ります。
今年から新たに誕生した春の沖縄の風物詩を体感してください。