沖縄から世界へエンターテインメントを発信する新たな拠点となる『沖縄国際文化祭』。その象徴となる縦型ショートドラマアワード「World Short Drama Awards 2025」が4月5日、那覇市文化芸術劇場なはーと 大劇場で開催されました。
誰もがスマホで縦型動画を楽しむ時代において、ドラマや映画など映像コンテンツもショートドラマがトレンドの主流に向かうなか、その物語性や映像表現を評価する新しいスタイルのアワードになります。この日の表彰式では、世界5ヵ国から714本の応募作品が集まったなか、7つの部門を争ったノミネート作品16本が紹介されました。
オープニングでは、国内外の招待作品3本が上映され、それぞれの出演者と監督がゲストとして登壇。国内作品からは、「ラストオーダーは復讐で〜ヒモがホストになっちゃった〜」の篠崎彩奈さん、山本裕典さん、髙橋栄一監督がステージに立ちました。
クズ男に沼る女性を主人公にした、ホストクラブを舞台にする復讐劇となる本作。篠崎さんは「スキマ時間に見ることができて、スッキリ爽快な気分になる復讐劇です!」、山本さんは「過去の彼女を思い出して、こういうことってあるなあと感じながら、可愛げのあるクズを演じました(笑)」。脚本と監督を務めた髙橋さんは「気軽に気分転換できるコンテンツです。この時代に生まれたショートドラマを体感してください」と話しました。
ほか、タイからの2作品「ピンクマン」「The Last Punch」の出演者、監督たちが登壇し、それぞれ撮影裏話や作品の見どころを紹介。みなさん、世界的に人気が広がりつつある縦型ショートドラマの魅力を熱く語りました。
続く表彰式では、まずノミネート作品16本のなかからこの日の受賞作7本が上映されました。
続いて、審査員が登壇。アーティストであり俳優のGACKTさん、沖縄国際文化祭実行委員会・委員長の大﨑洋氏、副実行委員長の安里繁信氏のほか、Z世代に大きな影響力をもつインフルエンサーの折田涼夏さん、まいきちさん、沖縄出身の平一紘監督、シーサー職人の新垣信人さん、三線アーティストの前田秀幸さんが、各部門受賞作品を発表しました。
第1回となった「World Short Drama Awards 2025」7部門の受賞作品は以下の通りです。
・グランプリ:走馬灯
・準グランプリ:ゴシップ!
・審査員特別賞:社長の名は
・最優秀監督賞:ガラケーハーモニー
・最優秀シナリオ賞:おじいちゃんコード
・最優秀女優賞:駒井蓮(作品:走馬灯)
・最優秀男優賞:別紙慶一(作品:闇バイト)
表彰式の最後に、GACKTさんは「ここから10年で縦型ショートドラマはたくさん出てくると思う。それがメディアとして成り立つことで、次世代の新しい監督、役者が世に出るきっかけになり、新人発掘にもつながります。発展性の高いメディアであり、これからを楽しみにしています」と縦型ショートドラマの未来について言及しました。
一方、大﨑氏は第1回となった本アワードについて「応募作品には、若い世代の人たちの発想、言葉遣い、表現したいことなど、ふだんから彼らにとって馴染みのあるショート動画を通してこそ伝わってくるものがありました。それを感じることができて興味深かったです」と総評。これからに向けては「アジアに近い沖縄から、広くアジア全域に向けて日本の縦型ショートドラマというカルチャーを伝えていきたい」と意気込みました。
そして、沖縄で本アワードを開催することの意義をGACKTさんは「過去には沖縄がアジア貿易の中心になっていた時代もありました。文化でも沖縄発でアジアへの広がりがあってもいいと思います。アジアの影響を受けている地であることも含めて、沖縄には柔軟な姿勢があります。日本の新しい文化をアジアに広げていく窓口になり得ると考えています。このアワードがもっと発展していくことを期待していますし、そのときは力になれることをやっていきたいです」とエールを送りました。
本アワードの各受賞作品には、ショートドラマアプリ・Heloへの掲載や、沖縄国際文化祭での上映など、次につながる特典が盛りだくさん。“沖縄 ✕ 縦型ショートドラマ”のアワードから、地域の魅力の発信とともに、次世代クリエイターを発掘、育成することにより、新しい映像の可能性が生まれる場になりました。
SNSのトレンドに乗ることがひとつの要素でありながら、映像制作の本質を問うコンペティションとして作品性を競った本アワードは、縦型ショートドラマを新たな文化として位置付けるとともに、参加者全員がクリエイターとして評価される新時代の表現の場の到来を示しています。