沖縄から新たな文化を創造し、世界へ発信する『沖縄国際文化祭』では、沖縄のエンターテインメントをテーマにしたトークショー「ゴリさんと大﨑実行委員長の沖縄や映画やらアレコレ」が4月6日、那覇市文化芸術劇場なはーと 大スタジオで開催されました。
沖縄出身のお笑いコンビ・ガレッジセールのゴリさんと、長年にわたって沖縄のエンターテインメント振興に尽力してきた沖縄国際文化祭実行委員会・実行委員長の大﨑洋さんが登壇し、ゴリさんの相方のガレッジセール・川田さんがMCを務め、沖縄の未来に向けた議論が、ときに真面目にときにおもしろおかしく繰り広げられました。
2人のトークは、もともと俳優志望だったゴリさんが大学を中退して芸人を目指したきっかけや、大﨑さんの吉本興業入社時のエピソードなど、なかなか聞く機会のない貴重なプライベートの話題で盛り上がったあと、ゴリさんの最新監督映画『かなさんどー』に話が飛びました。
大﨑さんは「沖縄の明るい太陽に照らされる社会に、どうしようもない切なさを感じることがある。それが『かなさんどー』にもあるから、印象に残った」とし、話は自身の生い立ちや家族の私生活にも及びました。そして「ゴリの映画には、地政学的に特有の歴史を繰り返してきた沖縄の人たちの生き方や思い出に紐づく、独特な死生観や魂がある。それが切なさになって伝わってくるから、自分の人生と重なってしまう」と心の内を明かしました。
一方、沖縄の映画を取り続ける理由を聞かれたゴリさんは、自身が芸能界で立身出世してきた過去を振り返り、その根底に沖縄出身のアイデンティティがあり、40歳を過ぎてから沖縄への恩返しを志してきたことを話しました。
そして、質問の答えとして「なぜかと言われれば、沖縄で生まれたから」とひと言。すると大﨑さんも「沖縄の人の血なんだろうね」と納得していました。
そのほか、大﨑さんのビジネス失敗談や、沖縄にこだわり続ける理由についてのトークが続き、気づけば残り時間はわずか4分。ここでようやく本題の「沖縄のエンターテインメントと本文化祭のこれから」に入りました。
大﨑さんは、全国各地に呼ばれて地方創生の講演をするなかで「東京の広告代理店やシンクタンクに地域活性化の企画を任せるのを止めてはどうですか」と説いているとし、その真意を「その地域の良さはそこに住んでいる人にしかわからない。地域の人しか知らないことを最大の武器にしないといけない」と話しました。
そして、「日本人には欧米人に負けない得意技がある。沖縄にも、地域特有かつ独特な技など、“本物”があるはず。それを見つけだして世界に発信することを沖縄国際文化祭でやっていきたい。沖縄の本物を見つけていこう」とメッセージを送りました。
その言葉に、会場から大きな拍手が湧き上がり、沖縄国際文化祭の趣旨とこれからの方向性を誰もが理解し、受け入れていたようです。